Rescue Mazeルール紹介

僕が参加しているロボカップジュニアのRescue Maze部門ですが、サッカーリーグとは違い競技人口が非常に少ないこともあって、どういうルールなのかあまり知られていないように感じます。
全国大会や各地の交流大会の時に僕のロボットを見せても「お前何ができるんや?🫵」的反応になってしまうことが多いので、今回はRescue Mazeの簡易的なルール紹介や機体の見どころを紹介します。
💡 本記事はロボカップジュニアレスキューメイズ2023年ルール 日本語翻訳版に準拠しています。
ミッション
Rescue Mazeのミッションはフィールドをくまなく探索して被災者を発見することただ一つです。
ゴールという概念は存在せず、スタートのみが存在します。Rescue Mazeでは最短経路を見つけるのではなく、フィールドをできるだけ多く探索することが求められています。
ロボットは全て自律的に動く必要があり、外部から操縦することはできません。また、一旦競技が始まると故障したりフリーズしたりしても競技終了までは修理することはできません。
フィールド
全てのフィールドは30cm四方のタイルを組み合わせて作られています。また、至る所に被災者と呼ばれるマーカーが壁に印刷されています。
競技フィールドにはバンプや階段、レンガなどの障害物が設置されており、それを避けるか乗り越えるかする必要があります。
競技フィールドの大きさや構成は競技開始まで競技者には開示されません。競技者は、どのようなフィールドを用意されても対応できるロボットを制作する必要があります。
競技開始
競技開始と同時に競技者は得点走行と調整のどちらかを選択することができます。調整をするかしないかは競技者の戦略に委ねられているので、調整をせずにいきなり得点走行を開始することが可能です。
- 得点走行
ロボットが自律的にフィールドを走行している状態。いわゆる試合。 - 競技前の調整
得点走行前に競技者はフィールドを用いて調整できます。調整と得点走行合わせて8分のため、調整を長く取ると得点走行の時間が短くなってしまいます。
競技進行の停止
試合中に問題が発生した時は競技進行の停止がコールされます。競技進行の停止がコールされた時、競技者は所定のポイントにロボットを移動させたのち、競技を再開できます。
具体的には引っかかって動けなくなった時、ロボットが転倒した時に競技進行の停止がコールされます。
タイル
タイルには以下の種類があります
- 白いタイル 標準的なタイル
- 黒いタイル 侵入禁止
- 青いタイル 5秒以上の一時停止
- 銀色タイル チェックポイント
黒いタイルにロボットの半分以上が侵入してしまった場合や、青いタイルで5秒以上一時停止せずに素通りしてしまった場合は強制的に試合進行の停止となります。
チェックポイントに到達すると得点がもらえます。また、チェックポイント到達以降に競技進行の停止がコールされた時、最後に到達したチェックポイントから競技を再開できます。(いわゆるセーブできるポイントです。)
被災者
フィールドの至る所に被災者と呼ばれるマーカーが壁に印刷されています。被災者の種類は6種類でそれぞれ得点が異なります。
ロボットがこれらのマーカーのそばにいるときに、5秒間以上ロボットに搭載されているランプを点滅させると被災者の発見となり、得点がもらえます。この被災者はカメラや色センサなどを用いて認識します。
また被災者の発見をした際に、レスキューキットと呼ばれるものを被災者のそばに置くと追加得点がもらえます。レスキューキットとは1㎤以上の物体のことで、あらかじめロボットに搭載されています。
階段・バンプ・瓦礫
フィールドには階段・バンプ・瓦礫がある場合があります。
- 階段
一段2cmの階段が2段あります。登り降りで合計4段です。 - バンプ
高さ2cm未満の障害です。角材や丸棒などが用いられます。 - 瓦礫
高さ1cm未満の障害です。爪楊枝やねじなどがばら撒かれています。
階段・バンプを乗り越えると得点がもらえますが、瓦礫は得点はもらえません。
障害物
フィールド上にレンガなどが置かれている場合があります。その場合はレンガを避ける必要があります。
競技終了
以下のいずれかの時、競技終了となります。
- 競技開始から8分が経過した時
- 競技者が諦めた時
- ロボットが脱出ボーナスを獲得した時(後の章で説明します)
追加の得点システム
Rescue Mazeにはボーナス点などが数多く用意されています。主なものを紹介します。
- 脱出ボーナス:
ロボットが競技時間中にスタート地点に帰って来れたら脱出判定となります。この時点で競技は終了です。点数はほぼ倍になります。 - 信頼性ボーナス:
競技進行の停止が少ないほど、ロボットの安定性が高いと評価されて得点がもらえます。
競技の見どころ
これらの競技をクリアするためにロボットにはたくさんの工夫が仕込まれています。以降は競技の見どころをいくつか紹介します。
探索アルゴリズム
ロボットがどのようにフィールドを走行していくかです。右壁伝いのチーム、左壁伝いのチーム、他にも様々なアルゴリズムがあるので同じフィールドでもチームによって違う経路をたどって行きます。
足回り
バンプや階段を乗り越えるために各チームは足回りの開発に非常に時間をかけています。直径を大きくしたり、サスペンションを搭載したり、車体ごと捻れるような構造にしているチームなど、非常に多彩です。
レスキューキット排出機構
レスキューキットをどのようにロボットに格納しているのか、どのように排出するのかもチームによって大きく異なります。縦に煙突のように積み上げているチームもいれば、僕たちのようにレボルバー式にしているチームなど、こちらも非常に多彩です。
おわりに
非常に簡易的でしたがRescue Mazeのルール紹介をしてみました。得点の計算方法や細則などは公式のルールを見るとより詳細に書いてありますので、そちらもぜひご覧ください。
僕が所属するたのロボ!では現在全国二連覇と世界大会に向けて新機体を製作中です。今年の全国大会や交流会の時は、ぜひ僕たちの競技を見に来てくださいね。
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