RoboCup2023 Bordeaux
7/5-7/9にかけてフランスのボルドーで行われたロボカップの世界大会に参加してきました。
世界大会ならではの経験や、フランスと日本との違いなどいろいろ感じたことが多かったので、大会期間中だけでなくその後のこともひっくるめて記事を書こうと思います。ちょっと旬をすぎてしまった感はありますが…。
ここはチームブログではなくて個人ブログなので僕個人の感じたことがメインの記事です。よくある時系列順の旅行記ではないので、そちらに興味がある方はTwitterXを見てください。
概要と競技結果
僕たちはJunior RescueのMazeに出場しました。いぬわし君と命名したこんな機体を連れて行きました。かわいいね
全国大会機より足回りの性能を大幅にパワーアップさせた機体です。詳細はまた後日分解記事として出そうと思います。
競技結果は27チーム中総合12位という成績でしたが、優秀ポスター賞をはじめ提出書類等で高い評価をいただけました。
現地の街の様子・治安
関空から台北で乗り継いでパリに到着するルートで行きました。パリからはTGV(新幹線的なやつ)でボルドーまで向かいました。
パリはあり得ないくらい治安悪かったですが(日本人感覚なんですかね)、ボルドーは比較的良かった印象です。到着一日目は割とビビりながら生活していましたが、すぐにその感覚にもなれました。
例えば人の多いところではリュックを前に持つ、変な人に目を合わせない(おくすりのめたねしてる人がいる)、聞き取れなかったりした時に適当にyesと言わないなどが代表例でしょうか。ちょっとフランスでは人間不信になってしまったので、帰国後数週間は日本だと分かっていてもリュックを背中に背負ったまま駅とかを歩くのが怖かったですね。
これは地下鉄の写真です。結構目つきの悪い人が多い印象でしたが、居眠りをするなどしなければ特に危険はなさそうな感じでした。駅構内の案内などは結構雑だったので、日本のサインシステムは本当にすごいなと感じましたね。電車内の液晶ディスプレイ行き先表示とか、駅構内のわかりやすい多言語案内とか。日本だけですよ?
地下鉄に限らず飛行機やTGVもそうでしたが、ダイヤがもはや機能してない感じでした。ベストエフォート方式。
フランス料理(?)でうまかったものNo.3くらいにランクインするのがこちらのマックのセット。日本でもよくある感じのセットで日本だと700円前後ですが、こちら何とフランスでは2195円!!!フランスは物価が全体的に高く、スーパーに行くだけでも驚かされます。
大会
開会式・閉会式
日本だと、知らない偉いおじさんや市長の「日本の未来を背負うのは…」みたいな話が無限に続くやつ調整時間返せ!!!ってなるやつが多いですが、世界大会では背景にEDMが流れて今から盛り上がっていくぜー!!とか、おめでとうー!!みたいに(語彙力)パーティーノリで楽しめるやつでした。
日本だと「練習の成果を十分に発揮して」「正々堂々と精一杯」的なメッセージが多いですが、世界大会では「Have fun!!!」の連発でした。とにかく選手・参加者が楽しむことを念頭に運営されていたのが非常に印象的でした。これは日本にはない良さだと思います。
車検
👩「自分で作った?スタートスイッチある?」→通過
競技運営
タイムテーブル通りに進められる感じだったので割と日本と変わらなかった印象です。日本人スタッフがいらっしゃったからかもしれませんが…。
競技の得点の集計は紙でやっていました。スタッフさんはみんな共通の鮮やかな赤色の服を着ていて、これが赤色の被災者マーカーに見えるので正直やめて欲しかったです。
競技フィールド
日本大会のフィールドと難易度が全然違いました。ロボットのことをよく理解して作られたフィールドで、バンプを乗り上げた瞬間に黒タイルに突入する→反射光で色を読んでいるチームは反応できない等のいじわるばっかしです笑
特に瓦礫として木ねじ(金属製)が撒かれたのは正直きつかったです。なんかショートして回路が死んだチームもいたみたいな話も聞いた気がします。
SuperTeam
スーパーチームとは複数のチームが1つのチームを作り、与えられた課題を協力して一晩で解決する競技です。今回僕たちは米国の同い年のチームと一緒になりました。
個人的に言語関連が一番不安でしたが、相手が英語圏だったのと、わかりやすい文法で話してくれたことで耐えました。基本的に会話は文字ベースで行い、履歴を残す形式にすることで他言語を扱うことにかかるリソースをできるだけ減らし、会話の本質に集中できるようにしました。
今回与えられた課題の概要は、線対象のフィールドの左右それぞれに1台づつロボットを配置し、被災者を見つけたら反対側のロボットに合図(Bluetooth、光、音等で通信)を出して線対象の位置にレスキューキットを投下するというものです。
もちろんハードウェア側のロボットの改造が必要になる場合があります。僕たちはスポンサーのM5Stackさんから提供いただいたESP32のモジュールを大量に持っていたので、それを搭載するだけの簡単な改造で済みましたが、近くにいたブラジルのチームは「It doesn’t work!!!!😡💢」って言いながらノコギリでロボットの筐体をぶった斬ってました。(何があったのか知りませんが…)
結果は…ちょっと想定よりうまくいきませんでしたが30点もぎ取ることができました。何よりも言語や文化圏の全く異なる人と一緒に何かを取り組んだのは初めてだったので良い経験になりました。
Junior Party
パーティー中の写真はいろんな人とダンスしたり自撮りしたりした写真ばっかなので流石にブログに載せるわけにはいかないのですが、この記事のトップの画像がパーティー会場の入り口ら辺です。もう、雰囲気伝わりますよね?ニチャァ
結構蒸し暑くて汗かきまくりましたが、日本では絶対できない盛り上がり方でめっちゃ楽しかったです!イメージとしては、朝の東京の満員電車人口密度でみんなフォォォォ!!!って踊ったりジャンプしながら騒いでる感じ。お菓子やジュースをJavaJava飲み食いしながらはしゃぐ感じでした。
任意参加ではありますが、世界大会の醍醐味でもあるので次年度以降行く方は絶対参加してほしいなと思います。
日本チームとの交流
やはり母国語が通じる人がいるという安心感はとてつもないものです。自分は空き時間ができたらいろいろな日本チームのところへ出かけて行ってロボット見せ合いながら駄弁ってました。この写真はEdge、Oi_DENGIKEN、Rememberと撮ったものです。
特にレスキュー競技終了後は立命館高校のEdgeに無限に粘着しまくって、沢山じゃがりことかお煎餅とか奪った頂いたりしました。キモすぎですよね、ごめんなさい。
色々交流できて楽しかったです。やはり自国の常識が通じるというのは非常に心強いです。他にも色々交流してくださったチームの皆さん、ありがとうございました!!!
今回渡航して気づいたこと
コミュニケーションはなんとかなる
伝えようという意思さえあればコミュニケーションって意外と円滑に取れるものだなと思いました。翻訳アプリに頼る機会は思いの外少なかったのが印象に残っています。
とは言ってもロボットの説明のような専門的な用語になると単語がパッと出てこないことも多いので、写真をすぐに見せられるように準備しておくべきだなと感じました。世界大会出場を狙うチームは普段からロボットの製作過程の様子などを写真に大量にとっておきましょう。エンジニアリングジャーナル等の提出書類の作成にも大いに役立ちます。
日本いいですね
自分そんな愛国(?)的なもの意識したことほぼなかったですが、いざ現地に行くと「日本すごいうぉぉぉぉ」となりました。禁断症状というか、これに関しては個人差あると思いますが、僕は離陸後2時間で出始めました。早すぎ乙
行きの機内で関空で買ったおにぎりを食べながら、「もうこれを2週間食うことはできないのか」「向こう(仏)にまともな白米はあるだろうか」と和食を思いを馳せながら、なぜもっと大量に購入しておかなかったのかと後悔してました。
暴動はないし、トイレは綺麗。治安もいいし、飯はうまい。日本神です。先進国すぎる。
もちろん日本文化に興味があるのは、日本人の私たちだけではありません。海外にも日本文化が好きな人は結構多くいて、特にアニメや戦国武将や日本語(の語感?)は好まれてるようでした。
一緒に漢字書いてみようぜ!ってブラジルとポルトガルの人に言ったらめっちゃ楽しんで書いてくれました。「めっちゃ難しい、お前らこんなの普段から書いてるのか?」って言われましたが、流石に普段からポルトガルのこと葡萄牙って書く人いませんよね…?
他にも目の前の席のお兄さんが「SAMURAI!!!!!!」って叫びながら筒状に丸めたプレゼンシートをヒュンヒュン振り回してたので、時代劇色々見せたら喜んでくれました。確かに、日本刀で人斬り合う様子なんて初めて見たら驚きますよね。出国前にダウンロードしておいて良かったです。成敗!!!!
精神は脆い
帰国後1週間は、海外で気疲れしたり、体調崩したり、燃え尽きたり…色々あったせいで完全に萎えてました。この記事の投稿がここまで遅れたのはこのためです。お待たせしてごめんなさい。
全国大会くらいの疲労だったら一日寝潰せばすぐ回復できるのですが、世界大会は規模が違いすぎて結構回復に時間がかかりました。担任にはカウンセリングを勧められましたし(実際行きました)、帰国後1週間で定期試験と戦わないといけないのもやばかったです。一回学校ズル休みしたりもしました。若くても体力や精神力は無限じゃないって学びました。
僕に現れた症状:
- 寝るしかないが寝ても疲れる
- 食欲が消滅する。inゼリーしか食えんかった。
- ネットやめたくなった
- J-POP、ボカロ等テンポの速い曲は全て受け付けなくなった
アップテンポの曲聞気けなくなったので、ずっと演歌聴いてましたね。具体的には松平健とか(←一択で草)。
とにかく外界から入ってくるあらゆる情報を遮断したかったのでずっとイヤホンして生活して寝てました。時代を生き抜いてきた方々の渋さがなんか沁みるんですよね、そこはかとなく辛い時には。
この年でこのジャンルに手を出すとは思わなかったですが、世界大会経験があるこっさんも、大会明けはずっとクラシック聴いてたみたいなこと言ってたので、割と再現性のある現象?なのかもしれません。
これ以上書くともはやポエムになりそうなのでこの辺にしておきます。
次年度の目標
とりあえず今大会では念願のハードウェア故障0回を達成できました。今年一年意識した冗長化や安定して動くための対策が実って嬉しかったです。
その裏腹で、ハードウェア安定性に対する時間のかけ方がちょっと過剰気味だったかなとも思いつつあるので、次はソフトウェア班のサポートを主にできるようにしていきたいと思います。
ロボカップはその性質上、がむしゃらに学生が取り組む開発スタイルになりがちです。しかし、今年はプロジェクトマネジメントにより解像度高く取り組んで、狂気ではないシステム化されたロボット開発に近づけるよう模索していきたいと思います。ロボットコンテスト界隈の「開発はブラックであれ〜笑」みたいな風潮には逆らうべきだと僕は思います。
今回の大会前にメンバーに徹夜や講義中開発を強いてしまうような状態になってしまったのは、正直キャプテンである僕のプロジェクト管理が甘かったからと言わざるを得ません。
具体的な開発スケジュールとしては、このいぬわし君自体のハードウェアはかなり優秀で改造箇所はあまりないと思われるので、世界大会までにソフトで解決できなかった問題を可能な限りハードで解決するように微修正し、残りの時間をがぼっとソフト改良に割り当てたいなと思っています。
来年以降世界大会に参加する人へ
いざ現地に着いたら何を学ぶべきかとか大人臭いこと考えずに、全力で楽しむべきだと思います。それがきっと良い経験を残してくれると思います。サトウのご飯と日本のお菓子はたくさん持っていくこと。
長々と僕がここに綴っても結局は現地に行かないと本当の意味では何も伝わらないと思うので、とりあえず国内大会勝ち抜いて僕たちと一緒にオランダいきましょう!
おわりに
おわりません。来年もロボカップ続けます。じゃぁね!
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