3Dプリンタで筐体を作るべきか

しろくま胡瓜
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近年3Dプリンタの普及が猛烈なスピードで進んでいます。家電として近所の電器屋の棚に並ぶようになるのも時間の問題でしょう。

2014年からRCJに参加している僕ですが、ここ数年でロボットに3Dプリンタを用いるチームが非常に多くなったと感じます。最初はロボットのカバーやオムニホイールなどに用いるチームがちらほらいた程度でしたが、最近では筐体まるごと3Dプリンタ製のチームも多いですね。

ここでTwitterとかをみていると一部で以下のような意見もあるようです。

  • 板を3Dプリンタ造形するのは勿体無い
  • 板が欲しいなら板を加工して作るべき
  • 強度的に本当に最適解なのか?

などなど。CADで設計して転送すれば数時間後には立体物が完成する魔法のような家電ですが、それに頼りすぎていませんか?他の手段はないですか?という考えも一定数存在するようです。

この辺の考えは割と分かれるところなので僕の考えを以下に述べていこうと思います。

結論

先に僕の考えを述べておくとありだと思います。あくまで僕の考えです。

2023/01/16 8:40追記
少し表現が悪かったですね、この記事では3Dプリンタで筐体を作るのを推奨しているのではなく、3Dプリンタで筐体を作るのも一つの通過点やアイデアなんだからそれを否定しちゃいけないよねってことです。経験者が先走ってそれはよくないと干渉するのはどうなん?っていう警鐘。

CNCやレーザーカッターと比べると圧倒的に価格が安く個人で手に入れやすい加工機械であるのと同時に、用途が幅広いのが3Dプリンタの強みです。また騒音も少なく、前処理・後処理がほとんど必要ない手軽さは他にはないものでしょう。

ゴミが出ない・少ない点も評価できます。強度があまり必要ない部分は充填率を下げることで軽量化する手法は他の加工機材ではできません。

僕も実際に3Dプリンタでロボットの筐体を作ってみました。

これは試作機です。このような中身があまりない部品の場合切削だと板材がかなり勿体無いです。本番用であれば切削も良いと思いますが、試作の部品に3Dプリンタの部品を使用するのは理にかなっていると言えるでしょう。

試作した部品から仕様変更が必要ないならば、本番用に3Dプリンタ部品を利用するのも頷けます。実際この機体のフレームも十分な強度が出ました。

ステップアップ

と3Dプリンタを褒めまくってきましたが3Dプリンタが全てにおいて最適解でないのも事実です。

3Dプリンタで作った部品は積層方向に対しては強度が全然出ません。でっかいパイの実でロボットを作っている様子を想像してみてください。一瞬で壊れることが容易に想像できると思いますが、構造上は3Dプリンタとやってることは変わりません。

3Dプリンタでオムニホイール作って粉砕した経験がある人結構いると思います。短期的に見れば良くない出来事ですが、そこから強度について学ぶことができたならば長期的に見ればよかったのではないでしょうか。試行錯誤の過程はやはり評価されるべきです。

最近、モーターのマウントやカバーなどが基盤と一体化したフレーム(モノコック構造的な)を作るチームを見かけました。3Dプリンタの立体造形を非常に上手く活用できている例です。板を造形して製作した経験があったからこそ成し得たアイデアだと思います。これはCNCやレーザーなどではできない制作法です。

破壊は芸術

ロボットの部品で3Dプリンタ部品が適さないケースは数多く存在します。しかし「適さない」と判断できるようになるには実際に作ってみた経験が最も重要だと僕は考えます。

筐体に関しても同様です。何度も作って探って改善してみてください。フィレットかけたほうがいいかもなどその都度に発見があると思います。数をこなすには手軽に試作できる3Dプリンタはとても有能なツールとなります。

何回も作ってレベルアップしたらぜひCNCなどの機械に手を出してロボットを作ってみてください。

きっと目を見張る素晴らしい世界が待っていると思いますよ。

しろくま胡瓜


  

しろくま胡瓜

日本のまんなからへんでロボット作ったり旅したりしてる白熊です。吠えたり噛みついたりしないから仲良くしてね。

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